Nikon Z9の気になる動画性能(6)ジンバル運用上の懸念点
引き続き、Nikon Z9の気になる動画性能(6)ジンバル運用上の懸念点について書きたいと思います。
Nikon Z9 注目の動画性能
1)4K UHD/120p 動画でも画面クロップ無しで撮影できる
2)ローリングシャッターゆがみを世界最小に抑え、メカシャッターレスを実現。
3)縦横 4 軸チルト式の画像モニターを搭載し、縦位置、横位置問わずハイアングルおよびローアングル撮影の高い操作性を実現。
4)8K を超えるオーバー8K/60p を含む 12bitRAW 動画のカメラ内記録機能の搭載
5)効率のよい放熱設計により、8K UHD/30p で世界最長約 125 分の動画がカメラボディー内のメモリーカードに記録可能。
※動画性能とは直接関係ないですが(6)ジンバル運用上の懸念点も。
6)ジンバル運用上の懸念点
Z9を導入する上でいくつかの懸念点があり、私は今現在導入を見送っています。
その懸念点とは以下の3項目になります。
1)ジンバルに載せた際に安定した運用が可能か?
2)そもそも今持っているジンバルに載るのか?
3)ジンバルに載せて走れるのか?
1)ジンバルに載せた際に安定した運用が可能か?
Z9は縦グリ一体型なので、標準的な横長のカメラと違って必然的に重心が高い位置になります。それによる弊害があるのか?それとも問題ないのか?そのあたりがハッキリしないうちに導入するのは控えたいと考えています。専門的な話をすると、重心が高くなればなるほど、ジンバルのピッチ軸・モーターに掛かる負荷は大きくなり、ティルト方向(垂直)の安定性にも影響してきます。
各メーカーのジンバルには、ペイロードと呼ばれる搭載可能な重量を表すデータがありますが、これはあまりアテにならない… というのはいつだったかのブログ記事で述べましたが、これはあくまで “載る” というだけの話です。載せた状態での安定稼動を保証している数字ではありませんので、この点ジンバルの導入を検討する上で結構大事な部分なのですが意外と知らない人が多いです。
2)そもそも今持っているジンバルに載るのか?
今現在、私の主力機・ジンバルはDJI RS2なのですが、これもさすがに縦グリ一体型のカメラは載せたことがありません。私の持っているレンズと合わせれば2,000g近くかそれ以上になることが予想され、特にピッチ軸のバランスが取れないのではないか?と容易に想像がつきます。
更に付け加えるなら、カメラを載せるマウント部(ピッチ軸)の上下バランスが取れないのではないか?と予想しています。このマウント部は上下に動かせるようになっているのですが、Z6(675g)と約900gのレンズを載せた際、既にそのクリアランスが限界だったので、Z9(1340g)とこのレンズの組み合わせだと確実にアウトです… もしRS2で運用するのなら、小型軽量なレンズ(それも300g以下の…)での運用を余儀なくされるのではないかと今の段階では予想しています。とても魅力的なカメラであることに変わりはないのですが、私の場合ジンバルで運用できなければ宝の持ち腐れになってしまいますから…
これが問題なければ良いのですが、RS2も決して万能なジンバルとは言えませんし、比較的重量級のレンズ(900g以上の)での運用は難しかったという苦い経験があります。とはいえ、あまりハードなカメラワークさえしなければ問題ないレベルであろうと考えていますので、Z9を試用させていただけるような状況になったらその時はYouTubeに映像をアップしたいと思います。あまり芳しくないような状況も予想されるので何とも言えませんが…
3)ジンバルに載せて走れるのか?
ここですね、まさに私が最も気になっている点は。走った際の挙動がどうなのか?どの程度までなら走れるのか?RS2で必要十分な保持力を得られるのか?です。
もう一つのファクターとして、Z9の手ぶれ補正機構(以下IBIS)の仕様も気になっています。今手元にあるZ6のIBISはどちらかというとスチル写真撮影向きのIBISとなっており、必ずしも動画撮影に最適な仕様ではないのでこのあたりも気になりますね。(このあたり、先行レビュアーはなかなか言及してくれないのでもどかしい限りなのですが…)
余談ですが、その点SONYの一眼は明らかに動画適性の高いIBISなのです。極めて信頼性も高く、ジンバルでの運用には絶対的存在と言っていいレベルにまで昇華されています。これは使ってみないとなかなか体感できないことではありますが、焦点距離を伸ばすほどにSONYが優位に、Nikonが劣勢になります。これは各々メーカーごとによる考え方の違いなので、優劣と言うよりはやはり仕様として捉えるべきでしょうね。
以上、Nikon Z9をジンバルで運用する前提での懸念点を語ってきましたが、これはあくまで私の予想であり、発表を踏まえた上での個人的な所感に過ぎません。実際は手にとってジンバルに載せて実運用してみて… というプロセスを踏まないことには何も分かりませんので、この点ご了承の上でご参考いただければ幸いです。
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撮影・執筆者

ジンバル撮影/指導/講師
豊富な実践経験から得たブレのないジンバル撮影テクニックを独自の理論に落とし込み、専門家ならではの視点でジンバルの正しい使い方を指導しています。2019年より自らが主宰するジンバル講習は日本で唯一。
講師業の傍ら、ジンバルで捉えた映像素材・ストック動画を撮影中。撮影対象は、主に都市景観:ビル街・建造物・商業施設など。詳しくは、映像素材・ストック動画のページをご参照ください。
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